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制度改正の骨子:何が変わったのか
これまで「合格か不合格か」の二択だった介護福祉士国家試験に「パート合格(科目別合格)」が導入され、これに伴い特定技能1号の「最長1年間の在留延長」が可能になりました。
在留延長(5年→6年目)が認められるための4つの条件
① 全パートを受験していること
一部の科目を欠席せず、全範囲を受験した実績が必要です。
② 1パート以上で合格していること
試験の一部区分(人間の尊厳と自立、介護の基本など)で基準点を超えている必要があります。
③ 総得点が合格基準点の8割以上であること
全体としても、惜しい成績(ボーダーラインの80%以上)である必要があります。
④ 翌年度の受験を誓約すること
本人に継続の意思があり、企業側が「学習支援計画」を作成・提出することが求められます。
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弁護士としての法的見解とリスク分析
今回の措置は、人手不足に悩む介護業界への「救済」であると同時に、企業に対して「教育責任の強化」を求めるものです。
「不法就労」リスクの回避
これまでは5年満了で無理に引き止めれば即不法就労となりましたが、今回の「特例」を正しく活用することで、合法的に1年間の「猶予期間」を確保できます。
「支援計画」の重要性
延長申請には、企業が作成する「学習計画」の提出が必須です。これを単なる形式的な書類として作成し、実態として勉強時間を確保させないなどの行為があれば、「虚偽の申請」や「受入れ機関としての欠格事由」に該当し、他の外国人の受入れにも悪影響を及ぼすリスクがあります。
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外国人雇用企業への3つの具体的提案
① 「5年目」ではなく「3年目」からの長期ロードマップ作成
延長はあくまで「1年間の猶予」に過ぎません。5年目の直前試験で初めて受験させるのではなく、3年目から模擬試験やパート合格を意識した段階的な受験を推奨してください。
→3年目・4年目での「お試し受験」を促し、不合格でも「どのパートが合格したか」を確認させることで、5年目の延長権利を確実に確保する戦略をとりましょう。
② 学習支援の「見える化」と環境整備
厚労省の条件には「講座受講や模試などの学習支援」が含まれています。
→eラーニングの導入や、週に数時間の「勤務時間内学習」の認容。これらは延長申請時の「活動状況報告」における強力な証拠となります。
③ 「特定技能」から「介護」への完全移行サポート
介護福祉士に合格すれば、在留資格「介護」への変更が可能になり、在留期限の更新制限がなくなります(家族の帯同も可能になります)。
→「延長」をゴールとするのではなく、永住も視野に入れた「キャリアパス」を提示することで、他施設への流出(転籍)を防ぐリテンション(引き止め)施策として活用してください。
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今後のスケジュールと実務の注意点
2026年1月:第38回国家試験より「パート合格制度」が適用。
2026年4月以降:5年満了を迎える特定技能1号外国人の延長申請が本格化。
弁護士のアドバイス: 延長が認められる「総得点の8割」という基準は、決して低くありません。「あと一歩」という層を救う制度です。対象となる職員の試験結果(通知書)は必ず会社でコピーを保管し、速やかに申請準備にかかれる体制を整えてください。


