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機構からの改善勧告・行政対応

外国人技能実習制度は、日本が培ってきた技術や知識を開発途上地域へ移転し、その経済発展を担う人材を育成することを目的としています。この制度を適切に運用し、技能実習生の保護を図るために、外国人技能実習機構(OTIT)が設置されています。外国人技能実習機構は、技能実習制度の適正な実施を確保するため、監理団体や実習実施者(技能実習生受け入れ企業)に対する監督指導を行っており、その一環として 改善勧告や改善指導を行うことがあります。

外国人技能実習機構による改善勧告・改善指導とは

外国人技能実習機構による改善勧告・改善指導は、技能実習制度の運用において問題点が認められた場合に機構が発する行政指導です。

改善勧告とは

改善勧告は、より重大な法令違反や不適切な運用が認められた場合に出されます。これには、技能実習生の権利侵害、労働基準法の違反、虚偽の報告などが含まれます。改善勧告を受けた監理団体や実習実施者は、勧告内容に従って具体的な改善計画を策定し、機構に提出する必要があります。勧告に従わない場合や改善が見られない場合は、実習認定の取消しや事業許可の取消しといった、より厳しい行政処分が下される可能性があります。

改善指導とは

一方、改善指導は、改善勧告よりも軽微な問題点や、将来的に問題に発展する可能性のある事項に対して行われます。例えば、書類の不備、管理体制の不十分さ、実習計画の一部修正などが該当します。改善指導を受けた場合も、指摘事項を真摯に受け止め、改善を行うことが求められます。改善指導は、あくまで行政指導であり、直ちに法的拘束力を持つものではありませんが、これを無視すれば、状況が悪化した場合に改善勧告へと移行する可能性も十分にあります。

技能実習生に継続的に働いてもらうためには、機構からの改善勧告・指導に対する迅速な対応が求められます。

機構によって指摘されやすい内容

外国人技能実習機構による指摘では、以下のような点が指摘されやすいです。

人権侵害・労働条件に関する事項

  • 残業代の未払い、不当な時間外労働、最低賃金以下の賃金設定
  • 暴行、ハラスメント、差別などの人権侵害行為
  • パスポートや在留カードの不法な保管
  • 実習生からの相談対応の不備

実習計画の不履行・不備

  • 技能実習計画と実際の業務内容の相違
  • 必要な技能指導が行われていない
  • 実習日誌の記載不備や虚偽記載
  • 実習生の日本語能力向上に向けた取り組みの不足

監理体制の不備

  • 監理費用の不適切な徴収
  • 定期監査の未実施または不十分な実施
  • 監理責任者や生活指導員の配置義務違反
  • 巡回訪問の頻度や内容の不備
    • 実習実施者への指導・助言不足

書類管理の不備

  • 必要書類の未整備、記載漏れ、誤り
  • 実習生の健康診断の未実施
  • 入国前講習や入国後講習の不備

近年では、特に実習生の人権保護と適切な労働環境の確保に重点が置かれているため、基準についても厳しくなる傾向にあります。

機構から改善勧告・改善指導を受けた際の適切な対応

改善勧告や改善指導を受けた場合、速やかに、かつ適切に対応することが極めて重要です。対応する場合の流れは以下です。

事実確認と原因の特定

まず、機構から指摘された内容について、具体的な事実関係を確認します。どのような行為が問題とされたのか、どの法令に違反しているのかを正確に把握し、その原因の特定を行います。この際には関係者からの聞き取り調査や関連書類の精査を怠らないようにしましょう。

改善計画の策定と実行

事実確認と原因究明に基づいて、具体的な改善計画を策定します。計画には、以下の要素を含める必要があります。

  • 改善内容: 何をどのように改善するのかを具体的に記載します。
  • 担当者: 改善計画の各項目について、責任者を明確にします。
  • 実施時期: いつまでに改善を完了するのか、具体的な期日を設定します。
  • 再発防止策: 同様の事態が二度と発生しないための予防策を講じます。

この計画は、単なる口頭での約束ではなく、文書として明確に作成し、機構へと提出する必要があります。

機構への報告と協力

策定した改善計画は、機構の指示に従って速やかに提出します。計画提出後も機構からの追加質問や確認には誠実に対応し、必要な情報や資料を積極的に提供することで、改善に向けた真摯な姿勢を示すことが重要です。また、提出された改善計画に基づいて、その進捗状況を確認するため、機構による立ち入り検査が行われる場合もあります。この際も、全面的に協力し、改善が進んでいることを具体的に示す準備をしておきましょう。

専門家への相談

改善勧告や改善指導の内容が複雑である場合や、自社での対応に不安がある場合は、早めに外国人雇用分野の専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、法的な観点から適切なアドバイスを提供し、改善計画の策定支援や機構との交渉代行を行うことができます。特に、実習認定の取消しや事業許可の取消しの可能性がある重大なケースでは、迅速な専門家の介入が不可欠です。

当事務所ができるサポート

当事務所では、入管出身の弁護士が改善勧告・改善指導への対応から、日々の適正な制度運用まで、以下のようなサポートを実施しています。

改善勧告・改善指導への対応支援

機構から改善勧告や改善指導を受けた際、その内容を詳細に分析し、貴社に最適な改善計画の策定を支援します。提出書類の作成代行や、交渉、立ち入り検査への同席など、一連の対応に際して全面的にサポートいたします。

コンプライアンス体制構築支援

技能実習法や労働関係法令を遵守するための社内体制構築を支援します。実習計画の作成・見直し、労働契約書のチェック、労働時間の管理、実習生の生活環境整備など、多岐にわたるアドバイスを実施します。

監理団体とのトラブル対応

監理団体との間で発生したトラブルについて、契約内容の精査から、交渉、OTITへの相談など、適切な解決策を提案し、問題解決に向けた支援を行います。

実習生からの相談対応体制構築支援

実習生が安心して相談できる窓口の設置や、相談対応マニュアルの作成など、実習生の人権保護に配慮した体制構築をサポートします。

外国人雇用に関する総合的なアドバイス

技能実習制度に留まらず、特定技能や技術・人文知識・国際業務など、外国人材の雇用に関するビザ申請、労務管理、トラブル対応など、幅広いご相談に対応いたします。

 

機構からの改善勧告対応については、対応を誤ると今後の外国人雇用にも大きな影響を及ぼす可能性があります。できるだけ早く専門家に相談し、適切な初動をとることが重要です。武蔵小杉あおば法律事務所では、機構からの改善勧告対応を行っています。お困りの際はお気軽にご相談ください。

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