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改善勧告・行政対応

外国人材の受け入れを支える重要な役割を担う登録支援機関。特定技能制度の適正な運用には、登録支援機関の適切な業務遂行が不可欠です。しかし、時に不適切な運用が認められ、行政処分の対象となるケースも存在します。

ここでは、登録支援機関が直面する可能性のある行政処分の種類とその内容、そして万が一行政処分を受けてしまった場合の適切な対応について解説します。

登録支援機関に対する行政処分の種類と内容

出入国在留管理庁長官は、特定技能制度の適正な運用を確保するため、登録支援機関に対し、その支援業務の状況に応じてさまざまな行政処分を行います。主な処分は以下の3つです。(参考:出入国在留管理庁:特定技能制度における行政処分等について

(1) 指導・助言

比較的軽微な問題や、将来的に問題に発展する可能性のある事項に対して行われる、最も軽い行政指導です。例えば、特定技能外国人への支援が一部不十分であったり、届出の期日が守られていなかったりするケースが該当します。指導・助言を受けた場合は、速やかに改善し、その結果を出入国在留管理庁に報告することが求められます。これは、今後の行政処分を回避するための「警告」と捉えるべきでしょう。

(2) 改善命令

指導・助言を受けたにもかかわらず改善が見られない場合や、より重大な法令違反、または不適切な支援業務が認められた場合に出されます。改善命令を受けた登録支援機関は、指定された期間内に具体的な改善計画を策定し、それを実行しなければなりません。改善命令は、その事実が出入国在留管理庁のウェブサイトで公示されるため、登録支援機関としての信用に大きな影響を与えます。改善命令の対象となる主な事由には、特定技能外国人に対する支援業務の不履行、届出義務の不履行、人権侵害への関与などが挙げられます。

(3) 登録取消し

登録支援機関に対する最も重い行政処分です。登録が抹消され、特定技能外国人への支援業務を行うことができなくなります。一度登録が取り消されると、原則として取消しの日から5年間は新たな登録を受けることができません。これは事業の継続を不可能にする、非常に厳しい処分です。登録取消しの主な事由としては、不正な手段による登録、登録拒否事由への該当、支援業務の著しい不履行、入管法その他の法令違反による罰金刑、特定技能外国人からの保証金徴収などの禁止行為が挙げられます。

指導を受けてしまった場合の対応の流れ

出入国在留管理庁から指導・助言を受けた場合、初期の対応が非常に重要です。

事実関係の正確な把握

まず、どのような点が指摘されたのか、具体的な事実関係を確認します。指摘内容を曖昧にせず、関連する書類や担当者からのヒアリングを通じて、正確な情報を集めましょう。

原因の究明と改善策の検討

なぜ指摘を受けた事態が発生したのか、その根本的な原因を究明します。人為的なミスなのか、体制の不備なのか、あるいは法的な知識不足なのか。原因を特定した上で、具体的な改善策を検討します。例えば、定期的な研修の実施、チェックリストの導入、社内規定の見直しなどが考えられます。

改善策の実行

検討した改善策を迅速に実行に移します。問題が軽微であっても放置せず、真摯な姿勢で改善に取り組むことが重要です。

改善結果の報告

改善が完了したら、出入国在留管理庁の指示に従い、改善した内容とその証拠(改善後の書類、研修記録など)を速やかに報告します。必要に応じて、今後の再発防止策についても言及しましょう。

指導・助言は、登録支援機関が自らの業務を見つめ直し、適正な運営へと軌道修正する機会と捉えるべきです。この段階で適切に対応できれば、より重い処分へと移行することを防げます。

改善命令を受けた場合の対応の流れ

改善命令は、指導・助言よりも重大な指摘であり、公示されることによって社会的な信用にも関わるため、より慎重かつ専門的な対応が求められます。

弁護士への相談

改善命令を受けた場合、まず最初に特定技能や外国人雇用分野に精通した弁護士に相談することをおすすめします。命令書の内容を正確に理解し、法的な観点から最適な対応策を検討するためには、専門家の助言が不可欠です。弁護士は、過去の事例や法令解釈に基づき、これからの対応についてのアドバイスをすることができます。

詳細な事実確認と原因の特定

弁護士と協力し、改善命令の根拠となった事実関係を徹底的に調査します。関係者からの聞き取り、関連資料の精査、システムの運用状況など、あらゆる情報を集めて原因を特定します。この段階での詳細な調査が、説得力のある改善計画の策定に繋がります。

改善計画の策定

改善命令の指示事項をすべて網羅し、かつ現実的に実行可能な改善計画を策定します。計画には、以下の要素を具体的に盛り込む必要があります。

改善目標: 何を、どこまで改善するのかを数値目標などを交えて明確にします。

具体的な改善策: どのような行動をとるのかを具体的に記載します。

担当者と責任者: 各改善策の担当部署や責任者を明確にします。

実施スケジュール: いつまでに何を完了するのか、具体的な期日を設定します。

再発防止策: 同様の事態が二度と発生しないための予防策を講じます。

この計画は、出入国在留管理庁に提出し、承認を得る必要があるため、客観的かつ説得力のある内容にすることが重要です。弁護士がこの計画策定を全面的にサポートします。

改善計画の実行と進捗管理

策定した改善計画を着実に実行に移します。計画の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて軌道修正を行います。実行過程で新たな問題が生じた場合は、速やかに弁護士に相談し、適切な対応を検討しましょう。

出入国在留管理庁への報告と協議

改善計画の実行状況を出入国在留管理庁に定期的に報告します。報告内容については、弁護士が事前に確認し、正確かつ効果的な表現をアドバイスします。必要に応じて、弁護士が同席して出入国在留管理庁との協議を行うことも可能です。誠実な姿勢と具体的な改善の証拠を示すことで、重い処分への移行を食い止める可能性が高まります。

登録取消しを受けないためのポイント

登録支援機関として安定的に事業を継続するためには、日頃から行政処分を受けないための予防策を講じることが最も重要です。

法令遵守の徹底

特定技能制度に関する出入国管理及び難民認定法(入管法)はもちろんのこと、労働基準法、労働契約法などの労働関係法令、さらにプライバシー保護に関する法令など、関連する全ての法令を正確に理解し、遵守することが不可欠です。定期的な社内研修や専門家によるリーガルチェックを取り入れましょう。

支援計画の確実な履行

特定技能外国人が日本で安定した生活を送れるよう、特定技能外国人支援計画で定められた支援内容を確実に実行してください。入国時の空港送迎、生活オリエンテーション、行政手続きの同行、日本語学習支援、相談対応など、一つひとつの支援を丁寧に行うことが求められます。

正確な書類作成と期限内の届出

特定技能制度では、様々な書類の作成と提出が義務付けられています。支援計画書、定期報告書、変更届出書など、記載内容に虚偽や不備がないか厳重に確認し、定められた期限内に提出することを徹底しましょう。

問題発生時の早期発見と対処

支援業務の中で少しでも疑問に思うことがあったら、すぐに担当者間で共有し、専門家へ相談してください。問題が小さいうちに対応することで、深刻な事態への発展を防ぐことができます。

    当事務所でサポートできること

    当事務所は、特定技能制度および外国人雇用に関する豊富な知識と経験を持つ弁護士が、登録支援機関の皆様を強力にサポートいたします。

    行政処分への対応支援

    出入国在留管理庁からの指導・助言、改善命令、さらには登録取消しに関する通知を受けた際、直ちに貴社と連携し、状況分析から改善計画の策定、必要書類の作成、当局との交渉・協議まで、一連の対応を全面的にサポートいたします。最も重い処分を回避するため、迅速かつ的確な法的手続きを進めます。

    コンプライアンス体制構築支援

    行政処分を未然に防ぐため、貴社の現在の支援体制や社内規程、各種契約書(特定技能所属機関との委託契約書、特定技能外国人との支援契約に関する書類など)について、特定技能制度および関連法令に照らしてリーガルチェックを行います。貴社の事業実態に合わせた最適なコンプライアンス体制の構築を支援し、潜在的なリスクを洗い出し、是正策を提案いたします。

    顧問契約

    特定技能制度は、法改正や運用変更が頻繁に行われる分野です。当事務所では、顧問契約を通じて、最新の情報提供や日常的な法務相談に対応し、適法な登録支援機関運営をサポートいたします。

    行政処分対応についてはお気軽にご相談ください

    武蔵小杉あおば法律事務所では、入管出身の弁護士が、登録支援機関の皆様が安心して事業を継続できるよう徹底的にサポートいたします。行政処分に関する不安や、日々の業務における法的な疑問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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