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不法就労外国人を雇用した雇用主の罰則はどんなものがありますか? 外国人雇用・不法就労問題に詳しい弁護士が解説!

弁護士からの回答

不法就労に関する罰則で、雇い主が特に気をつけなくてはならないのが、

・不法就労助長罪

・営利目的在留資格等不正取得助長罪

の2つです。
それぞれについて説明します。

解説

不法就労助長罪

外国人を雇用する際のルールは、入国管理法によって定められています。このルールを破ると不法就労となります。

不法就労助長とは、外国人を不法就労させていた事業主が問われる罪です。不法就労をあっせん、あるいは関連する場所を提供したりすることを指します。

不法就労助長罪に問われた場合、事業主は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(入管法第73条の2)が科されます。

近年は特に不法就労助長罪での摘発が増えていますが、ニュースなどを見ていると、不法就労を指摘された企業の担当者が「違法状態になっていると気づかなかった。」「悪気はなかったが、確認が漏れていた」といったコメントをしているのをよく見かけます。

しかし、この罪は「ルールをきちんと知らなかった」「うっかり確認し忘れていたが、故意ではない」といった弁解は通用しません。

入管法第73条2項2号には、「知らないことを理由として、同項の規定による処罰を免れることができない」という記述があります。

知らなかったと弁解しても、無条件で許されるわけではないのです。

外国人を雇い入れる場合は、不法就労をさせないためにも、ルールの理解と当該外国人への確認が重要となります。

営利目的在留資格等不正取得助長罪

営利目的在留資格不正取得助長罪とは、「営利目的」で、不法入国や虚偽の申告などルール違反状態で在留資格更新をすることを「容易にした者」に科される罪です。

要するに、不正な方法で入国したり在留資格の変更または在留期間の更新を行ったりした外国人を罰するものではなく、金銭を受け取るなど営利目的でその外国人を手助けした者を処罰するというものです。

営利目的在留資格等不正取得助長罪は、入管法第74条の6で規定されています。下記条文を参照ください。

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営利の目的で第70条第1項第1号もしくは第2号に規定する行為(以下「不法入国等」という。)又は同項第2号の2に規定する行為の実行を容易にした者は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

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例えば、レジ打ちなど単純労働をさせるつもりであるにも関わらず、通訳など国際業務をさせるという内容で、在留資格申請の書類を作成するケースなどが当てはまります。

その他、お金を受け取って偽装結婚や、偽装起業などをして在留資格申請の手続きを行うケースも当てはまります。

罰則に問われないためには

外国人を従業員として雇う雇い主が罰則を受けないためには、

・雇用前に確認していない、現在雇用中の外国人従業員の在留資格の確認も行う

・在留カード記載内容の目視によるチェックだけでなく、在留カード等番号失効情報照会サービスなどを活用する

といった工夫も必要です。

まず、新しく雇い入れた外国人の在留資格チェックだけでなく、雇用継続している外国人従業員の在留資格もしっかりと行いましょう。

外国人雇用に関する知識が不十分な段階で雇用した人材がいる場合、きちんとチェックができていない可能性があります。

今からでも遅くはありませんので、再度確認を行いましょう。

再度確認をした結果、不都合が生じた場合は、

(例:就労が許可されていない在留資格の外国人を雇っていた、資格外活動の許可を得た留学生を週28時間以上働かせていた、など)

できるだけ早く、弁護士など専門家へ相談されることをおすすめします。

また、在留資格の目視だけでなく、他のサービスを併用したチェックを行うことも重要です。

例えば、出入国在留管理庁が公開している、「在留カード等番号失効情報照会」などがあります。

こちらでは、失効した在留カードや特別永住者証明書などの番号を確認できます。

このサービスを活用して失効情報照会をし、その結果を残しておけば安心です。

ただし、近年では実在する在留カード等の番号を悪用した偽造在留カードが流通しています。この照会の結果は在留カード等の有効性を証明するものではありません。

問い合わせ結果だけで安心せず、きちんと目視の確認も併用することが重要です。

他にも使えるツールとして、入国管理局が公開している「在留カード等読取アプリケーション」もあります。

こちらのアプリを利用すれば、在留カード等のICチップ内に記録された情報をそのまま画面に表示することができます。

このアプリを使用して得たICチップ上の記録と、実物の在留カードの記載内容が異なる場合、そのカードは偽変造されたものである恐れがあります。

その場合は、お近くの出入国在留管理官署へお問い合わせください。

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