弁護士からの回答
外国人社員も日本人社員とほぼ同様に、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険への加入が義務付けられています。国籍や在留資格による加入・手続き上の違いは基本的にありません。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務・適用範囲
主にフルタイムや週30時間以上勤務、または正社員の所定労働時間の4分の3以上働く外国人には、健康保険・厚生年金ともに加入義務があります。
雇用期間が2ヶ月超見込みの場合も対象です。2ヶ月未満で終了が明らかな雇用は適用外となります。
技能実習生や特定技能などの資格保持者も、一般社員と同じ基準で判断されます。
社会保障協定
日本と社会保障協定を結んでいる国出身の場合、「企業内転勤」などで一時的に来日するケースでは、日本の厚生年金の加入義務が免除になる場合があります。
日本国内で採用(現地雇用)の場合、基本的に日本人と同様に日本の保険加入が必要です。
健康保険の被扶養者手続き(海外家族・国内居住要件等)
被扶養家族(配偶者、子、親等)について、2020年4月以降は「原則国内居住要件」が加わり、家族が海外居住の場合は“生計維持や仕送り等の証明”が強く求められます。
海外居住家族でも「留学・長期赴任などの特例要件」に該当すれば、認定される場合がありますが、追加資料や手続きが煩雑です。
被扶養者の年間収入要件(130万円未満など)は日本人と同じですが、海外家族の場合は証明書類(公的証明・送金記録等)が厳格に審査されます。
保険料・給付と脱退一時金
健康保険・厚生年金の保険料負担は日本人と全く同じです(給与から天引き+会社負担)。
母国へ帰国する際、日本の厚生年金に3年以上加入していた場合、一定の条件を満たすと「脱退一時金」(※日本に住所を有しなくなった日から2年以内に、払い込んだ保険料の額に応じて一定の金額の払い戻しを請求することができる制度)が申請可能です。
雇用保険・労災保険
雇用保険も、週20時間以上勤務など日本人と同じ条件で適用・給付があります。
労災保険も職種・国籍問わず全労働者強制適用です。
まとめ・注意点
社会保険の適用は“日本人在留者と同一”。家族扶養の海外要件・社会保障協定・脱退時の一時金など、外国人特有の細かな注意点だけ実務で配慮が必要です。
雇用主は在留カードの確認、家族証明の厳格管理、協定該当国かのチェックを必ず行う必要があります。


