弁護士からの回答
海外在住の外国人を採用する場合、以下の点に十分留意する必要があります。
解説
在留資格適合性の確認
海外在住の外国人を採用し、日本で働く場合、何らかの在留資格が必要となります。在留資格は、日本で従事する活動内容に着目した活動資格と日本での地位又は身分に着目した身分資格に分類されます。活動資格の場合、在留資格ごとに日本で従事することができる活動の範囲が定められています。そのため、現地での採用に際し、あらかじめ求人内容(日本での業務内容)と予定される在留資格との適合性があるかを確認することが必要です。在留資格で認められる範囲を超えた業務に従事させた場合、雇用主は不法就労助長罪となり、5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又はその両方が科されます。
労働基準法その他労働法規の適用
外国人労働者にも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などのすべての労働法規が等しく適用されます。労働条件・処遇・福利厚生において、日本人と同等でなければなりません。
また、外国人という理由で不利益な条件設定や差別的取扱いは固く禁じられています。
外国人雇用状況届出の提出義務
「雇用対策法」(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)に基づき、外国人を雇用した場合(または離職時)には、氏名、在留資格、在留期間等をハローワークに届け出る義務があります(違反時は30万円以下の罰金)。
実務上気を付けるべき事項
在留資格には細かい種類があり、就労可能な活動内容が限定されているものも多く、その内容の判断には専門的知識が必要です。特に海外からの採用の場合、ビザ申請・変更・更新のサポートや必要な申請書類の整備は専門家に依頼することでミスを防ぎ、スムーズに就労開始できます。在留資格制度は頻繁に変更されるため、最新の法令運用を熟知している専門家のサポートを受けることはリスク回避と企業コンプライアンスの観点から有効です。在留資格の確認・判断は、法的リスクを最小化するために専門家に任せるのが実務上の最善策と言えます。リスクを抱え込まず、正確かつ迅速な対応が可能となり、労務トラブルや刑事処分を防止できます。


